[自販機前に佇む男女には既に見覚えがあった。]
カークさん、お煙草ですか。
[先程立ち去り際の不様な顔は隠し遂せたと思っている。手招かれるまま歩み寄り(>>103)、カークの傍ら自販機の前に立つと、いっそ壮観な赤ランプの並びをあらあら、とでも言うように眺め。]
この船自体は民間のチャーターですので、自販機の管理も業者なんです。補充は港に戻ってになりますね…。我慢、できません?
[と、喫煙者を見上げた。ローズマリーに問わないのは、案の定の見た目ばかりの判断なのだが。身長差で視線を合わせる具合になると、不意にカークに覗き込まれた。]
[ゾフィヤにとっては唐突に感じられたそれに、反射的に身を引き掛けて、きゅ、と口元引き絞って耐えた。負けず嫌いなのだ。結果近場で目の底覗き込むような感じに。]
…曇り空と言っても、意外と海の照り返しは強いものですから。焼けてしまったかもしれませんね。
お気遣い、ありがとうございます。
[笑顔、今度は笑顔、と、また心の内で言い聞かせて。ピリ、と微かに痛む頬の赤みとはまた別の意味での赤みが差したかもしれないが。]