[睨む半眼>>93も、潤んでいれば迫力は半減する。
そのまま文庫本を奪おうかと指に力を籠めたが、悲鳴を上げる紙の束にすぐ力を抜いて退いた。]
へぇ、そりゃあ大変なことで。
準備は前日じゃなくて、もっと前にしておくべきだろ。
そう思わねぇの、優等生の大河クン?
[事前に用意していても確認作業に明け暮れたことは棚に上げ、
叩き落された手をひらりと振り、口煩ぇの、とぼやく。
その表情も次の瞬間飄々とした物から怒りへと変わる。]
……今、何て言った?
[手を叩き落とされたことよりも何よりも、付け加えられた一言が逆鱗に触れた。本を掴んだ手を今度は胸倉目掛けて伸ばし。]