これは美しい杖だね。
でも僕にはこれで完成には思えない。
僕も読んだことあるその物語の杖の芯には、不死鳥の羽根が使われていた筈なんだよ。
不死鳥は『不屈の精神』の象徴。
不死鳥の羽根なんて、手に入りそうにも無いけど、代わりに持ち主がその気持ちを注いで完成じゃないかな。
護りの杖を君に齎した存在は、君に困難を打ち払うだけの力と、何度でも立ち上がるだけの、勇気を与えたかったんじゃないかな。
――…また凄いものを貰っちゃったね。
[ローレルを真っ直ぐに見つめる、真剣な面持ちから、最後は微笑みながら茶化すように告げて。
そっと栞をローレルへと返しす。
それさえ済めば、もう関心事が無くなったかのように、再び机の上の資料へと目を落とした。]