ならず者 ディーター

─ 朝・ニコラスと ─

［いいんだよ、慣れなくて。
苦笑いと一緒に返ってきた言葉に、「そうだな」と返すことしか出来なかった。

ニコラスとの付き合いは五年前から。
その時にはもう酒に溺れていたし、ロクでもない人間の分類だった──尤も、元からろくでもない人間だった可能性は否めないが──。だから、きっとニコラスはディーターがゲルトが亡くなった後に、変な噛み付き方をした理由も意味も分からなかったのだろうし、だからこそ、理解をしようとしてくれたのだろうと思う。

談話室に移動して、彼の後ろから頼みごとをすれば、力こぶを作って了解してくれたニコラス>>91に微笑みながら礼を言って、手をひらひらとさせながら、談話室を後にした。］