[ふる、と首を振る。
一度離れた敵機は旋回した後、再度突っ込んでくる。
が、機銃の駆動音は聞こえず、代わりに届いたのは]
……セル……ウィン。
[怒鳴るような名乗りの声。>>76
ずき、と今度は頭が痛んだ。
同時に、妙な息苦しさが感じられる]
……っ! やばっ……!
[それが何かは、嫌というほどによくわかる。
記憶をたどる時の拒絶反応──ここ数年は御無沙汰していたそれ]
振り返ったら、落ちるから……!
[そう、言い聞かせて操縦桿を握る手に力を込める。
撤退の合図も出されている。
このまま、ここに居続けるわけにはいかない、と、翼を翻した]