[それが甘露の如く渇きを訴える喉を潤し始めた時には、身体の痛みはなくなっていた。]…は…っ。[荒い呼吸をしながら、寝台から起き上がる。さらりと晒した背中を滑る金赤の髪は、腰に届くまで伸びていた。それを確認する一対の瞳も真紅。―これに気付くのは、鏡を見るか誰かに指摘されてからだろう―]―った…。[身体の変化に慣れぬ故に、白い牙が舌を傷つける。じわりと口内に滲んだ血液は酷く甘い。加えて酩酊しているような心地になって、男はそれを振り払おうと頭を振った。]