― スラム街 ―
[ 男の棲家は街の外だ。この街にも聖都市にも仕事を含めた暇つぶしで顔を出す事はあるが、基本、長居はしない。
今回も仕事のついでに、少しばかり遊んで、とっとと戻るつもりだったのだが ]
キナ臭いな。
[ 基本、男は一度通った道を忘れないし、間違えない。自身の匂いがついた縄張りならば尚の事。
そして、この街は男の縄張りの一部だった。
だから、その一部が歪められていると気付くに時間はかからなかった ]
ふうん...
[ 何者か、の干渉...それもかなり手の込んだ...の気配に目を細め嗤う。他の者なら不安や危険、或いは迷惑と感じる所だろうが、退屈を持て余す男にとっては、面白いという発想が先に立つ。
心当たりのある、干渉者に対する好悪の情とはまた別の話だが ]