――1名、第一小隊に伝令せよ。出来るだけ大声で触れ回ってやれ――隻眼の英雄は重傷だ、敵軍は撤退準備、とな![伝令が、弾けるように出て行く。それは事実だが、真実を伝えない言葉。しかし少しでも敵軍の士気を落とせればそれでよかった。戦いを生き抜き、ノトカーがしたことを知れば、彼に寧ろ心を寄せる者が多かったろう。そして自軍の作戦はほぼ失敗に終わっている。その意味では好機もなにもない]……言った者勝ちという奴だ。[ぼそりとそう傭兵らしいことを口にして、瞬発、騎馬を走らせる。]