[ちょうど、バルタザールとその使い魔が現れた反対側。地下一階へと続く穴の中に別の通路を作った魔は、軽く跳躍して、ゲオルグたちの背後へと着地を果たす。背を屈めたまま、膝をついて。]…………、[囮がゲオルグとゾフィヤの気を引いている、その隙に。弓を構えるようにするりと手を後ろへ退いた。魔力が指先に集まり、蒼い炎が矢を象っていく。]――冥府の炎よ、矢となりて全てを焼き尽くせ[当たれば、体の内部を燃やして命を奪いとる、炎の矢。それが今、ゲオルグへ――洗礼者を狙って、放たれる。]