[飢えに邪魔されてぼんやりと定まらぬ思考は、目の前の少女を兄であると認識できない。]「お嬢様」?ふふ、おにいさまみたいなことを言うのね。[上品に笑えば一歩、小柄な少女に近付いて。首を傾げればまた一歩。短剣を逆手から順手に握り直す。]あら、どうして謝るの?謝らなければならないのは、わたし、なのに。[既に視線は相手の首元から離れることはなく。感情を露わにする目の前の少女に不思議そうに訊ねる。]酷いことをするのは、わたしなのに。