― 回想:ベルガー島にて ―私、は……。[父や兄を失い、目の前で傷ついた友は未だ行方知れずの、王子の傷>>1:378に比べれば、きっとずっとマシなもの。 そう思い込もうと、男は曖昧な笑みを浮かべる。 あの、陥落後に感じた喪失感は、悲しみすら持って行ってしまったのだから。 それらを取り戻すのは、王都を取り返してからで十分。 一つ、深く息を吐き出してから、膝を付き頭を垂れる。]