……おにいさまがすきそう。
[趣味のわるい棚の中身に目をやりながら、故郷にいる"兄"のことを思い出して。
もしかしたら彼になにか手土産でも見つけられるかしら、と。
床に落ちた書類と瓶の中身へと視線をめぐらせます。
……と。
彼の様子がおかしいことにようやく気づけば、気づかわしげな視線を向けました。
屍体である彼が、汗を流すなんて、これまで一度もなかったことです]
あーちゃん?
どこかわるいんですか?
[ドロシーにはなにも変わりはないというのに、どうして彼はこんなに苦しそうにしているのでしょう。
ああ、彼の腕からおりていなければ、その汗をぬぐってさしあげることができたでしょうに。
地に足をつけたドロシーには、ただ苦しげな彼を見あげることしかできませんでした]