― 少し前・パン屋 ―[男がオットーに黙って出て行ったのは、兵士になると告げればきっと、泣き出してしまうだろうから。戦地に身を置くことがどういう事なのか、当然理解していた。常に命の危機にさらされる事だって、覚悟の上。けれど弟分が泣き出す様を見てしまったら、その覚悟が、崩れてしまいそうで。] 大丈夫だ、今は大して痛くもない。[>>105 心なしか硬く聞こえる声、暫く思案した後、左手をオットーの頭に伸ばして。彼が避けなければ、その手はオットーの頭をくしゃりと撫でる*]