[私は20年をかけて、色んな土地を巡って来た。
人は自分と違うものを受け入れ難く、受け入れられる者も迫害されやすい事も、学んできた。
中には共存している土地もあるらしいと聞きはしたけれど、もうその頃には人間たちと共に生きていきたいという願いは擦り切れていて。
魔王の領内に入り、ようやく安心して暮らせるようになった。
けれど、あの子は。カヤは自らの意思で来た訳じゃない。
自ら居場所を選んだ私は、あの子もきっと、選ぶ日が来るだろうと思っていた。
だから、少しでも選択の幅が広がるように。
人間に馴染みのあるものに触れさせておきたかっただけ。
それに、あの花はあの風吹く丘にも咲いていたものだったから]