―回想・宿屋前―
ヨアヒムの居場所……?
[ニコラスに尋ねられて>>100、少しばかり思案する。最近では村に様々な感情が渦巻きすぎて、感覚は大分鈍くなっていた。ヨアヒムについては宿を出て行ったところまでしか捕捉できていない。]
今は村が騒がしいから、正確なところは分からない。目的も無く出て行ったのであれば予測もつかない。
……ただ、こんな状況で、目的を持って外へ出て行ったのであれば、大方は自宅か、件の森ってところだろうね。敢えて一人で出て行ったのだから、誰かに来られることは望んでないかもしれないけれども。
[ヨアヒムの居場所が分からないのは本当で、完全に予測だった。]
ん、どういたしまして。
[お礼を言われたためにそう返し、宿へと戻る彼の姿を見届ける。]
――話したいこと、か。
[最後に、雪さえも凍てつかせるような声色で呟く。まるで、空間に広がる冷気が、その瞳から発せられているかのようで。己自身は、ただひたすらに渇きを感じていた。]