[風の声に耳を傾ける事を忘れるな――と、父から継ぎまた自らも口にする一族の常に、弦が緩む事も鏃の先が逸れる事はなかった。己が友を信じ、気配を頼りに、迷わず嵐へ放った矢は、だがやや遅い。すぐさま咥えていた矢を手に、ナイフの代わりに穿とうとするが汗落ちるほどの熱の中、冷たい刃が降りてくるのを感じた*]