[シグルドがここにいたということも、記憶を失くした彼女は当然知らない。
おまけに目も見えず、故に彼がいなくなったこと>>105にも気付けなかった]
に、逃げるって……――きゃっ!?
[いきなり逃げろと言われても>>110、目が見えないのだからどこをどう行けばいいか分からない。
戸惑い躊躇していると、腕を引かれ>>110されるがままに霧の中から連れ出される。
普段の彼女ならこんな状況であっても抵抗をしそうなものだが、それもなく。]
あ……あの、貴女は…?
[やがて霧から逃げ終えると、呆気にとられながらもそう尋ねる。
知らない気配だ。天使長でも天使でもない。
主に招かれる人間というものをまだ知らない彼女は、少しの恐怖を抱えていた。]