―研究所―
[さきのような失態を犯さないよう、扉が開かれるその瞬間は、ひどくあたりに気をくばっていたものですが。
どうやら扉の先には、動くものはいなかったごようす。
ほこりっぽくってうす汚いそこ>>88は、ドロシーにはどうにも我慢ならない場所でした。
とはいえ、ほんのわずかに"なつかしさ"のようなものは、おぼえましたが]
あーちゃん、すこしおろしてもらえますか?
[ぺしぺしと彼の腕のあたりを軽くたたきながら、そんなことを。
確かに魔導書なんてなさそうな場所ですが……まんがいち、ということもありますから。
もし彼がいい顔をしなくっても、今回ばかりは無理にでも聞いてもらうつもりです。
そうして彼の腕からおりられたのであれば、久方ぶりに自らの"足"で地をふんだでしょうか。
――従者の異変>>89になど、気付かないままに]