― ベルサリス学館・回想 ―
ふーっ
[大きく息を吐いて職員室の自身の席に腰掛けると、横から声が掛かる。
同僚のアレクシス・ユレだ。
代々学者の家系であり彼自身も博識の持ち主で、彼と話をするのはこの頃のいい刺激になっていた]
おう、そっちも戻ってきたばっかか。
ちょうど喉乾いてんだ。用意してくれんならなんでもいいぜ。
[誰にでもするように、アレクシスにも砕けた態度で返事をし]
ん?ああ。あの転校生か。
……そうだなぁ。クロードなら面倒見もいいし任せて安心だよな。
[一瞬、間があったのは、彼女の正体のことがちらと頭を掠めたからだった。
だが、彼が知らないのなら同僚だとてもちろん話せないことだ。
アレクシスの言葉を否定することもなく、うんうんと頷いている]