[遠い遠い大きな街で、起きてしまったそれらの事件は、人々の退屈を紛らわすのに、最適で最高のものになってしまい……
追及の手に困り果てた男の両親は、療養という名目で彼を風花の村に隠すことにした。
…吹き荒れる銀の嵐は彼の両親の期待通りに、三度共彼を護り抜く。
好奇の視線から、下卑た詮索から、大衆というものからも、豪雪をもって壁を築いた。新しいものが供給されない以上、それらは新しい話題へと流れていき――…結果、彼は救われる。
そして……三度目の滞在以降、男はこの村に心を置くことに決めた。
奇異の視線にさらされようと、望まぬ言葉を吐かされようと、逃げこむことができる最後の砦として。
男がこの村の中で感情を作れない理由…それはこんな理由であった。]
―― 銀嵐と男にまつわる話・了