― 異界門 ―……さて。[花神が立ち去った後。魔は妙に上機嫌の態で手にした扇を閉じた]俺もそろそろ、行くとするか。[言葉と共に、ゆらり、手を振る。応じて舞うのは桜の花弁。その幾許かはひらり、はらりと何処かへ飛んでゆく。向かう先は、己が呼び寄せし異界の『蕾』の許。>>103]此度の『蕾』……今までのものとは大分、異なる様子。さて、如何様に咲いてくれるやら。[などと言いつつ、蒼の狩衣の裾を翻して歩き出す。咲き乱れる桜花から零れた花弁が、慕うようにその後に従い舞った。**]