― 幼き日 ―
[幼い頃は野山を走り回るような子供ではなかった。
当時から村長を務めていた父の手前、『いいこ』で居ることを望まれ、コンスタンツェやオットーのように悪戯をするなんてことは以ての外。
家の手伝いをして、遊びに出るにしても村の中だけ、誰かの下。
そんな環境に居たため、コンスタンツェ達のことは羨ましくも思っていた。
一度彼らの後をついて行こうとして、両親に引き戻されたこともある。
彼らが歳近いアルビンに懐く中、フランツはそれよりも年上、両親やそれ以上歳を重ねた者達と接することの方が多く。
結果、彼らとはどこか壁が出来、ディルドレのような年長者と言葉を交わすことが多くなった]
[それでも文句は一つも言わなかった。
言えなかった]
[自分は、『いいこ』でなければいけなかったから*]