[軍人の女性達が去った後、一人となり「船旅といえば一に景色二に潮風」と事前申込パンフレットに書かれていた謳い文句を思い出し、甲板へと足を伸ばす。
先程まで居た同じ観光客の女性とすれ違った(>>52)が、それに気付くこと無く暫く一人でぼうっと景色を眺め潮風の匂いを堪能していた。]
(自分の悩みなんてあって、無きものに等しかったのかしら。
勢いだけで決めて此処に来たけど、これで良かったのかしら。)
[今まで一人が好きだと感じたことは特になかったが、雄大な大海原を見ていると徐々に己のちっぽけさを感じ始めた。
普段と違う環境。普段と違う周囲の人達。
今まで見知ってきたことは本当に小さく狭い世界での、ごく僅かなことにしか過ぎないと感じ。]
……来たからには、楽しんで帰らないとね。
[船内は広く、一般客が入れる場所も数多く存在したはず。
オリエンテーション時に配布された資料を再び取り出し、ぱらぱらとページを捲り眺めてみる。]