[どれくらいの時間が経っただろうか。
戻ってきたのは、頭部を血に染めたヤコブただ一人。
待てども待てども戻ってこないもう一人――アルビンは、
ヴァルターの一声で明日また捜索の手が回されることとなったようだ>>61]
銀嵐により村内で遭難はしてない、と思うから。
戻らないってことはそういうことだよね。……きっと。
[アルビンはこの村を初めて訪れたわけではないのだから。
希望的観測を抱いているようなことを言いながら、
心の奥底では、もしこのまま戻らなかったら――と、
極めて冷静に、打てそうな一手について思いを巡らせていた]