[ここはどこ、なんて、まるで記憶を失った者か痴呆者が言う台詞じゃないか。自分の身に起きた異変と合わせて考え―やはりこの霧は危険だと判断する。天使長の誰かに報告しなければならない。] ぼうっとしないで! 逃げましょう!ほら、こっち![だが今は逃げるのが先だ。このまま更に霧に呑まれたらどんなことが起きるかわからない。例え相手が嫌っている天使であろうと、目の前の誰かを見捨てることはできない。慌てて引き返し、避けられなければ彼女の腕を掴み、そのまま霧の中から連れ出そうと試みる。]