とは、いえ。事細やかに話して聞かせるようなものではないし。……私としては、それに費やす時間も惜しい。[言いつつ、視線は刹那、銀の繭へと向かう]なので、『今は』ひとつだけ。その『名』は、『風』を捕えられぬ『名』だった、とだけ言っておこうか。[視線を戻した奏者は、静かに言って、薄く笑った]