――回想:白狼館――
[その日、ゾネスの要塞及び白狼館は慌しく人が行き交った。
騎士団にも婚姻のための見合いの話は伝わり、ラバル家をもてなす食事やパーティー会場の準備に催しの踊り子等、準備が整えられて要塞より迎えのための騎士が馬を駆って出る。
騎士の集団は白狼館に続く道の両脇にと一斉に整列し、馬車が通り過ぎていくに合わせて剣を白狼の旗を掲げてラバルの訪問に敬礼を示す。
案内係りの者が現れては白狼館へと共に進み、門は大きく開かれて大きく棚引く幾重のラバル家とフォールデン家の旗が歓迎の意を示すだろう。]
なんだか・・・恥ずかしいな・・・・・・。
[お見合いの時間が迫ってきたとあってアイリも落ち着かぬ。
そしてそれ以上にアイリを困らせたのは臨む服だ。
長年軍服を着ていたせいか、ドレスなどは着るのも恥ずかしく想像もつかない。またオシャレなどは気にかけることもなく変じゃないかとずっと心配でなるアイリ。
赤色の襟元が大きく開けたドレス、そしてサファイアの首飾りをつけてドロシーに着付けを手伝ってもらえば何度も彼女にその心配をぶつけた。]