―少し前・仕立て屋―
ニコさん…?ああ、ニコラス。
へえ、珍しい柄ですね。
[そういえば以前は自分にもよく土産をくれていたななどと思い出しながら、エルナの差し出したテープ>>78をまじまじと見て、彼女の上機嫌の理由を知り納得する。
もっとも、彼女が喜んでいるのは土産をもらったからというよりも、ニコラスにもらったからという方が大きいように感じたが。
確かに女性の喜びそうな柄だ。
きっとフローラも、と一瞬恋人のことを思ったのを悟られたのか、エルナがテープを持った手を若干引っ込めたので、あわてて意識をエルナに戻した。
エルナもゲルトと同じように、以前と変わらぬ態度で接してくれている。
生来の楽天家であるゲルトと違って、エルナの方は多少意識してそうしているようだった。
若干の申し訳なさを感じながらも、その気遣いはありがたかった。]
何に、使うんですか?
[彼女のニコラスに対する想いを感じとっていたものの、それを茶化すような性格ではなく。
口にしたのは単純な疑問だった。]**