[それと同時、蹴り飛ばした先から炎の矢がいくつも男目掛けて飛来する。男は下がりながら、波打つ剣で一つ、また一つと斬り割いていく。捌き切れぬいくつかが身を焦がしたが、今のところは焦げただけだ]ははっ、吹き飛びながら詠唱したのかよ。面白ぇ。[炎の矢を斬り割きながら笑い声を上げる。これまで対峙した魔術師とは明らかに違う相手に高揚は隠せなかった。やがて炎の矢が途切れんとした時、その瞬間に肉薄するべく足に力を込める。右手に握る波打つ赤き剣を届かせるため、地面を蹴った時だった]