御覧の通り、荷車にはなんにもありませんから、
商売品を仕入れるのに、しばらく滞在させていただきます
[宿まで案内してくれるという彼女の好意に甘えさせてもらうことにした。
にこにこと笑みを浮かべながら、帽子を取ってお辞儀を一つ。]
私はアルビン。
主に戦場で商いをやっている者です
短い道中の間ですが、どうぞよろしく
[村に入るまで張り詰めていた気持ちはいつの間にか和らいでいた。
この村独特の、穏やかな気候がそうさせるのだろうか。
村を渡り歩くのは彼にとっては珍しいことではないはずなのに、
つかの間の休息に心が浮ついていた。**]