[かくして女の子はまた風花の村の土を踏む。宿屋に向かう彼女の髪を、細く高い声のような音を立てて吹きすさぶ風が、揺らしていた。既に銀嵐の兆しは、訪れて。雪が目の前をいくつも、風花のように踊っていた]雪の聖霊様が歌ってるみたい。[そう呟いて、歩調を緩めた女の子だったが、やがて、風の音が、歌声ではない別の声に聞こえた気がして、立ち止まる。たとえるなら、そう。獣が遠くの仲間に向けて聞かせる、遠吠えのような――――]