― 街角か、あるいは ―
[ 燃え上がる街の絵を描き上げて
一息つく頃にはどれほど時間が経っていただろう。
すでに空は暗くなりかけ、
水平線の向こうに日が沈もうかという頃だった。
昔ならば感情のままに書き殴ることで
気が晴れることもあっただろうけれど
今や激情を形にしたところで気は晴れない。
それどころか、ざわざわと
落ち着かない気分にすらなる。
一所に居ることに耐え切れなくなって、
ローレルは夕暮れ時の街へ一人で出かけていた。
そうして絵を一枚抱えて歩いていた時か。
薄暗い路地の中にその人の姿を見かけて声をかけた。 ]