[――頼むから。
頼むから血気に逸ってくれるなよ。
そう心の中で何度も唱えながら。]
……国家の要職たる両名が亡くなられたこと。
僕としても本当に遺憾であり、哀悼の意を表します。
[あくまで僕が一喝したのは最初だけ。
後はなるべく相手を落ち着かせるように、努めて冷静に。]
後継に関しては、"アレクシス殿の意志を引き継いだ"参謀本部と、
我々監査局のの合同による調査結果が近日中に出されます。
かの文書の真贋、真の後継者がいずれであったのか。
先王陛下の真の御遺命は、その場において示されるでしょう。
[少なくとも僕は嘘は言っていない。
参謀本部の調査でも文書が偽物という証拠は出なかったのだ。
このまま行けば、期日の発表の日には「遺言は本物――後継者はウェルシュ殿下」という結果が出るだろう。]