[引かれた髪はそのままに飢えた男はシメオンの血を啜る。快楽伴うとも言われる吸血という行為ではあるが己の牙を使うのは初めての事で効果のほどは知れない。満たされてゆく感覚に更に求めたくなるが――。ふと我に返り首筋から牙を抜く。] 甘いものなのだな。[血をわけてくれた彼に味の感想を感慨深く漏らし傷口に滲んだ赤をざらつく舌が舐めとった。]