人狼物語−薔薇の下国

13 Chant 〜あなたを失い死を知った〜 SIDE:B


公国軍大尉 レト

[兵を返した後も、机に片肘ついたまま動けずに居た。
乗せた額を支える拳が、じっとりと汗を滲ませる。

敵国の指示の元とはいえ、戦の火種を投げ込んだ原因が、余りに近いところにあった。
ついさっきまで通信機から届いていた声はごく普通で――いや、だからこそ臓腑がひっくり返るような心地なのだ。
普通で居られたのだろうか? 人の未来が一太刀で消える戦場を作り出すに加担して?

背に怒りとも恐怖とも嫌悪ともつかぬ震えが走る。
それを抑えようと、硬い木の机へと拳を叩きつけた。]

(110) 2013/06/19(Wed) 14:22:49

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