―メイン・サロン/アデルを資料室に案内する前―
[さっすがぁ、と茶化す声>>72に、
誰かさんの教えがいいもので? と茶化し返してから。]
―――-……っ!
そんなこと…っ、い、言わないでください…
[通信の終わりの気配と共に、
もし、クレメンスが寄生されていたら…と問われれば。
それ以外の可能性もあるかもしれない、とはこの時は思いもよらず、
頭に浮かんだのは、『人狼』のことだった。
寄生されて人狼になった兄の面影や、
いつのまにか父親と重ねていた、クレメンスの背中>>1:407が、
脳裡に浮かんで、微かに揺れる視界に滲む。
咄嗟の動揺を取り繕えないまま、唇から零れた素の震え声は、
まるで今にも泣きそうな、少女のようなか細い響きで。]