フェリクス第一王子、ウェルシュ第二王子。
まずはこの場で意見することをお許しいただきたい。
…遺言とも言えよう御璽のある正式な文書。
その真偽を問うのであれば、畏れながら監査局だけの手に負える代物ではないのではないかと。
僭越ながら参謀本部も監査局のお力添えができれば…と思います。
それに……、王の急逝の原因が不明のまま、真偽を探ろうとらちが明かぬもの。
そちらも併せて調査の必要があるかと思いますが……。
いかがでしょう。
[ちらり、一度シュナウザー監査局長を一瞥し。
フェリクス王子とウェルシュ王子、それぞれをゆっくりと伺い見る。
そのふたりの様子の対極さたるや、ここが玉座でなければ、きっと笑い飛ばせたろうに、と表情硬いまま惜しんでいた。]