門まで先に行って、誘導してきてくれ。
匂いでわかるだろ?
他の連中とは事を構えるなよ、ルール違反になっちまうからさ。
[狼たちは首肯して、鼻を高く上げる。
目的の匂いを見付けたのか、小径の奥へと走り出して──二匹は振り返った。]
『 ガァト、もどるまでに、かっこわるいのなんとかしなよ 』
『 しなよ だいぶかっこわるいから 』
[言われた当人は、顰め面でシッシと片手を振る。全くもって心外だ。]
心配ない。
俺の格好良さは木に引っかかったくらいでは全く目減りしないからな。
早よ行け。
[言い切った琥珀色の瞳には、己が発言に対する一切の迷いも謙遜も無かった。]*