― 八幡 甲板 ―御意。[>>81男は龍から仕える主君の子へと向き直ると、姿勢を正し腰を折り見送った。自軍の船の中、男が気配を探った限り不審は無く、故にわざわざと後を追うような事はなかった。自ら働く事を、良しとする者は多いのだろう。普段船上とは遠い所に身を置く男にとって、船内の雰囲気は概ね上々といった所であった。]立派に成られたものだ。[若君が去った後に呟くそれは、やや強くなってきた風の中に飲み込まれる。男の胸中には柄にもなく、年寄りめいた感慨が浮かんだ。]