[目を開ければ、こちらを見つめる萌黄色の瞳と交差して、恥ずかしさがこみ上げてくる。帰ろうという言葉に、無言のままこくこくと頷いて。優しく馬に乗せられても、行きのように声をかけることも出来ず。馬上で、ただ、トールの胸に顔を埋めていた。流れる景色に目を向けることも出来ず。ただ、甘い花の香りだけが、少しずつ遠ざかって行った――…。*]