― 湖 ―
アムドゥスキアの…。
[どうりで見覚えないと思いながら、連れ出されても引かれる手は離さない。
今まで心も、距離も離れていた分、繋がりを欲するのはこちらも同じ。
ここも故郷と比べれば違う土地ではあるものの、あの異国の不思議な地と比べれば、帰って来たという実感も強い。
繋いだ手の指に力を込めて、今度は沿うようにすぐそばに立った。
魔王に対しては概ね同じ感想を抱く。
あの趣味にはついていけそうにないが、全くの暴君でもないのかと。
…こういう所があの王の魅力なのかと、恍惚にも見えたあの裸の男を思い出して少し首を振った。]