――尚書官長執務室前――
なあ、リーくん おれへん?
[声を掛けたのは精々少尉であろうか。比較的ま新しい
軍服の男に、姿の見えないリヒャルト尚書官長補佐の行方を
そう尋ねると少し前にフェリクス王子の護衛の任を承ったとのこと。]
なんや、ふられてもーたなあ。
[おろおろする若者に目を細める。
無理もない、国の高等官と対等に会話をするのは
位を思えばには荷が重いのだろう。
かわいそうやなあ、と他人事のようにニコニコ笑いながら]
ほな、あれや。なんかうまいお菓子のある店教えてんか。
[と更なる無理難題をぶつけて楽しむこととした。]