神父 ジムゾン

[いや、実際、仮想現実であろうと死は死だ。
五年前に捜査の手が入って『目覚めた』ときは、
自分以外の同じ立場の連中、
何回も死んだり生きたりさせられていたから、
ほとんどの奴が精神壊したし。

彼方の自分、今ここにいる自分。
記憶や感情が混ざり合う感覚に、
ぐらりと悪酔いしそうになりながら――


　ふんす！　と腹筋使って
　問答無用で跳ね起きた。


まずは動いてから考える！　というやつである。
けれど、起き抜けで周りが見えていなかったものだら、
気付いていなかったのだ。

まだ、コクーンの蓋が空いていなかったということに。]