[スープが煮えるまでの間に、調理に使ったナイフを洗う。
――塩漬け肉を容易に削いでいけるそれを]
…こういうのはさ、旨いって思わないの。
[シモンがまだ厨房にいれば、そんなことを聞いた。
裂こうとされた希望>>97には、もう自分で亀裂を入れてしまっていて、心は変に凪いでいる。シモンが他所で誰かを喰っていたら、シモン自身が指摘するように、己がそれを平穏と勘違いしてしまうだろうって知っていて――否定は告げず、こんなのは余談だと感じながらも話しかける]
[彼の喉元にナイフの刃先を突きつける、その時までは]*