そんなの……そんなの、ないんだよ!
あんたに分るか?家族になれると思ってた人から拒絶される痛みが!
[手を伸ばしたって、振り払われるに決まってる。
だから、伸ばすのが怖いんだ。
失うのが怖いから、その手を引っ込めていたんだ]
どうやって取り返せばいいんだよ!
死んだ人は還って来ない!俺の生きがいだった演劇はもうできない!
俺の世界は……俺の世界が、なんだったかさえもう、思い出せないんだよ!
[地に倒れ付しながらもなお、叫び続ける。
思い出せないんだ、自分の世界の形さえ。世界の色さえも。
十字架を握り締める力は強く――どちらが近づいてきてもいいように――]