[親の前でその子の血を吸っていいものかと悩みはすれど一度灯った欲は容易には消せなかった。
翆玉の眸に映り込むシメオンの首筋>>103――]
見たくないなら、どちらも瞑ってしまうと良い。
[誘われるように顔を寄せ左の耳朶に囁く。
彼の深呼吸に重なるように、コク、と喉が鳴った。
「いいから」と許しを得れば
白い肌から透ける血の筋にくちびるを寄せる。。
鋭くも冷たい牙がそっと宛がい押し込めた。
薄き皮膚を破り穿たれた牙、その痕からは血が溢れる。]
――…ン。
[些か甘い一音漏らしシメオンの血を舌で掬い喉奥へと流し込む。
甘露の如き芳醇な、その味に酔うように翆玉が蕩けた。]