― 平原 ―
…………。
[槍を受け止められてから次の動作までの、一瞬の間に放たれた言葉>>95。
怯むべきではなかったのかとも、そもそも仕留められなかった時点で同じだとも思う。
いずれにしろ、考えても詮無いことだ]
[得物を奪われ、体勢を崩したこちらに、容赦なく槍が襲い掛かる。
周囲の精鋭兵たちの動揺の声が聞こえたが、手出し無用の一騎打ちではどうすることも出来ない]
ぐ、う……!
[突き上げる一撃を、それでもただで喰らうつもりはなかった。
槍を諦めた右手と、まだ辛うじて盾の残る左手を交差し、体幹部を守る。
しかしそれは、どうにか致命傷を避けた、という程度の役にしか立たず]
[穂先は両の前腕を、骨に達するほど深々と切り裂いていった*]