[――ついに、知られてしまった。
そんな絶望に満ちた想いと、もう一つの感情が交差する。
胸のつかえが取れたような、不思議な安心感。]
(ああこれで……やっと話せる)
[今まで何かを口にしようとするたびに、心の中の囁きが邪魔をした。
そんなことより、もっと言わなければいけないことがあるんじゃないか?
その声が聞こえるたびに、凍りついたように言葉が喉を通らなくなった。
同時に表情がこわばり、緩やかに感情が死んでいった。
月日が流れるにつれ、その囁きは次第に少なくなって言ったけれど。
それでも心の奥底に、確実に存在していた。]
十年前のあの事件。リーザは狂っていて、人狼側で、人間の敵だった。
だから人間の手によって処刑された。
[ずっと言えなくて、言いたかった真実。
ヨアヒムはどんな顔をして聞いていただろうか?]