[水晶の行方は、それに応じる術者の動きは生憎目にしていない。
シェットラントにも、それほどの余裕はなかった。
三頭の猟犬を斬り伏せ、顔を上げた向こうに見えたのは血を流す男の姿。
血を流しながらも強靭な集中を失わず、
己の術を行使する強大なる魔術師の姿だ。
このままでは危うい───それは、戦う者の持つ直感だった]
[せめてと取り出し放つのは、術を篭め固定化した水晶だ。
足元に向けて投げだせば、眩い光を放つ。目晦ましの呪法。
ダメージはない、それでも。
魔方陣の完成を遅らせられればと願ったのだが]