―― 早朝 ――
[目が覚めたら外は薄らと明るく夜明けを示していた。
覚醒を促すように頭を振り、夢を思い出して懐かしさに目を細める。
あの日取れなかった何かは数年後に取りに行った。
あの時に見た物と同じだったのかどうかは分からないが、自分ではそうだと信じている。
胸元を手で押さえると服の下に硬いものがあって、それをぎゅっと握り締めた。
それは一枚のコインで、穴を開けて紐を通してある。
泉の底には数枚落ちていて、キアラにも同じ物を渡した。]
……どーしてんのかな。
[氷竜軍の騎竜師がキアラでなければいい。
きっとどこかであの日のように笑っていればいいと、そう願う。]